2018年3月30日金曜日

Ubuntu1804検証

Ubuntu の 18.04 が、4月末にリリースされる。
今使っている16.04は既に2年程経っているから、18.04が出たらバージョンアップをしたいと思っている。

が、いきなり18.04にバージョンアップしようとしても大きく変更が入っているはずなので、色々トラブるはず。
そこで、まずは単純に、16.04→18.04のバージョンアップ検証をしてみたいと思う。

まずは、仮想環境にUbuntu16.04を導入し、openvswitch 導入と固定IP化、最新16.04へupgradeしておく。
その後、本来ならバックアップを取得しておくべきだが、今回は仮想環境を使用した検証なので、スナップショットを作っておくことにする。

新しいバージョンにアップグレードするコマンドは do-release-upgrade だが、まだ正式リリース版ではなく開発版のため、-d のオプションが必要になる。
sshでログインしての実行は、N/Wダウンなどのリスクがある。出来ればコンソールから実施しよう。(仮想マシンなら、virt-viewer 等を使用する。)
特に、今回の構成は ssh でログインするポートが openvswitch を経由する。openvswitch のアップデート等で ssh が切断される可能性もあるため、コンソールから作業しよう。
$ sudo apt-get update
$ sudo do-release-upgrade -d -c
$ LANG=C sudo do-release-upgrade -d
#ssh でログインして実行している場合、安全のために追加で ssh を起動する、という確認が入る。そのまま y で継続して構わない。

パッケージ更新の確認で、いくつのパッケージが削除されるか?等の確認が入る。こちらもそのまま y で継続しよう。
途中で、/etc/default/grub の差分について確認の画面が入ることもある。そのままエンターでも、一つ上の「パッケージメンテナのバージョンをインストール(install the package maintainer's version)」でも構わない。

この後、暫く時間がかかる。数十分~数時間。ボーッとモニタを眺めていよう。
アップグレード後、不要なパッケージ(18.04では削除もしくは置き換えられたパッケージ)の削除をするか?と聞いてくる。HDDが無駄になるだけなので、削除してもいいだろう。
というか、どうせ後から削除するので、このタイミングで削除してしまおう。

作業が終わったら、再起動するか聞いてくる。再起動して反映させよう。

開発中のバージョンにアップデートしたため、まだ不具合が残っているかもしれない。
とりあえず、サービスだけは確認しておこう。
$ systemctl status

問題無ければ、念のために最新版にアップデートしておく。
(最新版を入れたはずなので、この数十分の間にパッケージが更新されて無ければ、何も更新は無いはずだ。)
$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get --simulate upgrade
$ sudo apt-get upgrade

今回知ったのだが、パッケージ更新時にパッケージに含まれる設定ファイルのファイル名が変わる場合、古い(削除された)設定ファイルは残ってしまうようだ。
例えば、/etc/init/openvswitch-switch.conf。
このファイル、新しい openvswitch-switch パッケージには含まれていないが、16.04時代の openvswitch-switch パッケージには含まれている。
アップグレードすると、このファイルは削除されず、残ってしまう。
但し、「パッケージに含まれるファイル」という扱いではあるので、openvswitch-switch パッケージを削除する時には、一緒に削除してくれる。
つまり、素で18.04をインストールした時と、16.04から18.04にアップグレードした時とで、同じパッケージ構成にしていても、微妙にファイル数が異なる、ということだ。
害は無いが、ちょっと気にはなる。
まぁ対処しなくていいだろう。

さて、無事にアップデート出来たら、ちょっと手を出しておきたいところがある。
16.04の時、ネットワーク設定は ifupdown によって行われていた。
(/etc/network/interfaces 等を使用していた。)
どうやら、17.04か17.10から、ネットワーク設定はnetplan方式に変わったようだ。
(/etc/netplan ディレクトリが設定用ディレクトリ。)

アップグレード後でも、ifupdown 方式は使えるが、デフォルトが netplan 方式に変わったし、ifupdown 方式がいつ使えなくなるか(削除されるか)分からないので、今のうちにnetplan 方式に切り替えておこう。
#他にも、デフォルトが変わったものがあるかもしれないが、今の所ネットワーク関連だけ分かっている。

ちなみにこの netplan、systemd に組み込まれているようで、systemd-networkd というサービスによって起動されるようだ。

というわけで、今までの ifupdown 方式から、 netplan 方式に切り替える。
切り替える前にもう一度バックアップ取っておこう。(仮想環境なので、スナップショットを取っておく。停止してからスナップショットを取るのが安全だ。)

netplan の設定ファイルは、/etc/netplan/*.yaml というファイルで、中身は yaml 形式とか。manをよく読んで作ってみる。
$ sudo vi /etc/netplan/extsw.yaml
--以下のように作成--
--ens3の部分は、物理I/Fのデバイス名だ--
--とりあえず、暫定仮想マシンで作っているのでens3になっている--
--IPアドレスも含めて、各自の環境に合わせてみて欲しい--
network:
version: 2
renderer: networkd
ethernets:
ens3:
match: {name: "ens3"}
bridges:
extsw:
interfaces: [ens3]
dhcp4: false
addresses:
- 192.168.55.143/24
gateway4: 192.168.55.1
nameservers:
addresses: [192.168.55.1]
--ココまで--

出来たらチェックしてみる。
$ sudo netplan --debug generate

特にエラーっぽいメッセージが出て無ければ、反映させてみよう。
ネットワークを一時的に止めるので、コンソールから実施すること。
まずは、今までの networking を止める。
$ sudo systemctl disable networking
$ sudo systemctl stop networking
$ sudo systemctl status networking
$ ip address show

そしたら、systemd-networkd からnetplanを起動してみる。
$ sudo systemctl status systemd-networkd
$ sudo systemctl start systemd-networkd
$ sudo systemctl enable systemd-networkd
$ sudo systemctl status systemd-networkd
$ ip address show

これでネットワークにつながったはずだ。
念のために、古い方の設定で起動しないように、古いファイルは退避しておこう。
$ sudo mkdir /etc/network/interfaces.d.bk
$ sudo mv -i /etc/network/interfaces.d/* /etc/network/interfaces.d.bk

再起動して確認してみる。
$ sudo systemctl reboot
$ ip address show
上手く行っているようだが…
$ systemctl status
$ systemctl --state=failed
どうやら、resolvconf-pull-resolved.serviceというサービスが起動に失敗しているようだ。
$ systemctl status resolvconf-pull-resolved.service
調べてみると、resolvconf関連はこのサービスの他にsystemd-resolved.serviceというのがある。
このサービスは、systemdパッケージに含まれているようだ。
どうやら、16.04にも含まれていて、他のサービスとの兼ね合いで無効化されていたっぽい。
networkingを無効にし、systemd-networkd を有効にしたことで、systemd-resolvedが有効化され、今までしようしていたresolvconf-pull-resolvedとバッティングしているようだ。
というわけで、resolvconf-pull-resolvedを無効化して再起動してみる。
$ sudo systemctl stop resolvconf-pull-resolved
っと、どうやらこのサービスは、resolvconf-pull-resolved.pathを止める必要があるようだ。
$ systemctl status resolvconf-pull-resolved.path
$ sudo systemctl stop resolvconf-pull-resolved.path
$ sudo systemctl disable resolvconf-pull-resolved.path
$ systemctl status resolvconf-pull-resolved.path
$ sudo systemctl reboot
$ systemctl status
一応、問題無さそうだ。

ところがこの状態では、名前解決に失敗する。
$ host www.yahoo.co.jp

/etc/hosts に記載されていない名前解決には、/etc/resolv.conf に記載されているネームサーバが使用される。
Debian / Ubuntu は、この /etc/resolv.conf は自動作成されるようになっている(厳密には、別のファイルが出来て、/etc/resolv.conf はそのファイルに対するシンボリックリンクだ)が、resolvconf-pull-resolvdを停止させたことで、/etc/resolv.conf の中身が空っぽになってしまった。
$ cat /etc/resolv.conf
$ ls -l /etc/resolv.conf
$ cat /run/resolvconf/resolv.conf

新しく稼働したsystemd-resolvedは、どうやら/run/systemd/resolveの下に、resolv.conf と stub-resolv.conf という2つのファイルを生成するようだ。
そして、/etc/resolv.conf は /run/systemd/resolve/stub-resolv.conf を指すようにすればいいらしい。
バージョンアップではなく、ダイレクトに18.04をインストールした環境を見たら、そのようになっていた。
(現在、18.04はまだ開発中で、インストール自体がうまくいかない可能性もある。この場合は、ちょっと古いインストールイメージを使用すると良い。)

このことから、/etc/resolv.conf を作り直してみる。
$ sudo rm /etc/resolv.conf
$ sudo ln -s ../run/systemd/resolve/stub-resolv.conf /etc/resolv.conf
$ ls -l /etc/resolv.conf
$ cat /etc/resolv.conf

ネームサーバとして、127.0.0.53 を指していると思う。
この辺り、ちょっと特殊な作りになっていて、ローカルでネームサーバが起動、127.0.0.53で待受しているようだ。
そして、各クライアントアプリ(リゾルバ)は、ローカルのネームサーバに対して問い合わせを行う仕組みのようだ。

とりあえず、名前解決が出来るか確認してみよう。
$ host www.yahoo.co.jp
無事に名前解決出来たと思う。

再起動しても問題ないか、確認しておこう。
$ sudo systemctl reboot
$ systemctl status
$ host www.yahoo.co.jp
問題ないはずだ。

あと、networking.service と resolvconf-pull-resolvd は不要になったはずだ。
削除しておこう。
それぞれ、どのパッケージに入っているか再確認。

$ systemctl status networking.service
サービス定義ファイルが /lib/systemd/system/networking.service だということが確認できる。
$ dpkg -S /lib/systemd/system/networking.service
ifupdown に所属しているファイルだということが分かる。
一応、パッケージに所属しているファイルを一応見ておこう。
$ dpkg -L ifupdown

resolvconf-pull-resolvedについても同様に確認。
$ systemctl status resolvconf-pull-resolved
$ dpkg -S /lib/systemd/system/resolvconf-pull-resolved.service
$ dpkg -L resolvconf

削除してみよう。
削除に不安があるのなら、一度バックアップを取得しておけばいいだろう。(仮想環境なのでスナップショットをとっておく。)

では削除してみる。
$ sudo apt-get --simulate remove ifupdown resolvconf
一緒に ifenslave というパッケージも削除されるようだ。(パッケージの導入状態によっては、他にも削除されるものがあるかもしれない。)
bonding関連のようだが、netplanではteamingにて実現しているので、必要ないということだろう。
サクッと削除してみる。
$ sudo apt-get remove ifupdown resolvconf
再起動を促す画面が出てきた。
一応、再起動してからもう一度名前解決を確認しておく。

$ sudo systemctl reboot
$ systemctl status
$ host www.yahoo.co.jp

問題無ければ、不要となった設定情報も削除しておく。
$ sudo apt-get purge ifupdown resolvconf ifenslave

今回、16.04から18.04へのバージョンアップで、ネットワーク周りの変更が入っていたため、その変更を取り込む手順を確認した。
他にも変更が入っているかもしれないが、分かり次第取り込むことにしよう。

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